シネマ歌舞伎ってご存知ですか?
歌舞伎の舞台公演をデジタルシネマカメラで撮影し
スクリーンで上映するという今までに無い観劇です。
私が初めて見たのは2年程前ですが
2005年1月には当時は
珍しいデジタルシネマを使った映画以外のコンテンツとして
また『デジタル』と『歌舞伎』という一見相反する要素の組み合わせに大きな反響を呼んだそうです。
シネマ歌舞伎の魅力は
<映画館という大スクリーンだということ>
役者の豪華な衣裳や細かな表情から指先の動き
足の運びまで鮮明に見えます。
舞台観劇の時は手の先の表情や裾さばきを観ようと
いつも望遠鏡持参する私ですが
その歌舞伎「美」をまるで花道で鑑賞しているかのように
手が届くほど身近に感じれることです。
<豪華な顔合わせの演目が見れること>
東京まで行かないと良い演目はなかなか見れません。
得に中村勘三郎の舞台などはチケット争奪戦は必須。
そこまで必死になれない私ですし
人気役者や実力派俳優の豪華な顔合せの演目を
1/10程度の低料金2000円で見れることも利点。
母が日本舞踊を趣味にしていたので
私も小さい頃から舞うことが好きでした。
子供のただの演劇会でも
着物を着た時の立ち方
指のかざし方
首の傾げ方など
先生以上に母からは結構厳しく指導されていました。
一時母の師匠に習いはじめた頃、
突然亡くなられたので断念しましたが
「舞う」ことの興味はまだ残っているようです。
なので今回は舞いを主流としたシネマ歌舞伎ということで
観てきました。
坂東玉三郎主役の『蜘蛛の拍子舞』(くものひょうしまい)
「拍子舞」とは拍子に乗って歌うように
台詞をいいながら踊る技法のことです
。
今まで玉三郎を超える女形は観ていません。
次の世代では尾上菊之助が有望株かな?
他の男役者が女形をした場合、白塗りをするとどうしても
頬のこけ方や顔のデカサや輪郭や首の太さで
カツラを被ると頭デッカチになって
やはり化け物のようにしか見えません(笑)
でも玉三郎は素顔より白塗りが良く似合う美形になります!
長身なので着物のバランスも良く舞う姿も本当に美しい。
ただ美しいだけでなく、
自分よりはるかに小さい立役と同じ背丈に目線を合わせるため
相当膝をおって舞っています。
それは大変なことで体を酷使して体力を使っていることが解ります。
なよっとしたしぐさの裏には
ストイックな生活から舞台にかける情熱が感じられ
拍手拍手の素晴らしさです。
厳しい世襲制度の梨園の世界の中で、
畑違いの一般出身者が一匹狼で主役の地位を務め続ける
才能と努力を感じます。
まだ観たことはありませんが、玉三郎の「鷺娘」を観てみたい!
1978年に初めて「鷺娘」を演じた玉三郎は
1984年、世界的アーティストが顔を揃えたメトロポリタン・オペラハウスのガラコンサートで上演して大喝采を浴びた代表作。
白鷺の精を演じる玉三郎
30年前の玉三郎はどんなに華麗に舞ったことでしょう。
美しいとは言えませんが男らしい中村勘三郎も白塗りが良く似合います。
二人とも下膨れっぽい輪郭が生まれもっての
歌舞伎役者の申し子のように思えます。
二本目はその勘三郎主役の『身替座禅』(みがわりざせん)
浮気をめぐり、衾の下で怒りに震える奥方の玉の井(三津五郎)と
逢瀬の後のほろ酔い加減に舞う右京(勘三郎)の浮かれぶりとの
対比が面白いユーモア溢れる狂言舞踊です。
勘三郎には「笑い」が良く似合っています。
間の取り方や表情の豊かさがどんな役者よりも上手く華があり
会場を沸かせます。
大阪でいうと、、、歌舞伎界の藤山寛美みたい!
坂東三津五郎との掛け合いやアドリブは
いつも絶妙で思わず笑い声がでてしまいました。
演目「らくだ」などはお腹をよじれる位
大笑いするほど楽しかったこともあります。
肩の凝らない歌舞伎も沢山ありますので
いつか是非2000円で日本の代表芸術・歌舞伎を
シネマ鑑賞してみてはいかがでしょう。
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