数年前のことです。
「見てみたい!読んでみたい!」と思った陶芸の本があって
三ノ宮で一番大きなジュンク堂に探しに行きました。
店員から
「申し訳ないのですが、当店ではどこも取り扱ってないようです。
でも神戸で1軒だけ置いてある店があるようです。」
と言ってそのお店の住所と電話番号まで調べたメモをいただきました。
古いビルをリノベーションしたショップやカフェの多い栄町。
古いビルの1階に可愛い小さな看板がありました。
どんなお店だろうとちょっとワクワクしながら
ビルの階段を4階まで上がりました。
入ってすぐのカウンターにはイギリス製の黒い地球儀がディスプレイされていたのを覚えています。
何処にも置いてない本なのに
ここでは推薦書みたいに積まれていました。
店内の一角のディスプレイが可愛くて
一緒に置かれている本もどれも素敵!
興味の湧くものがいっぱい、、、目移りしてしまいました。
8坪ほどの店内で、決して広くはありませんし
沢山の本を置いている訳でもありませんが
新旧・和洋問わず「これは!」っと思った本をセレクトし
見やすく解りやすく紹介しています。
窓の広い明るい店内で、時折聞こえる船の汽笛を聞きながら
ゆっくりと本を選んで頂けます。
というコメントも頷けました。
それから数か月ごとに、足を運ぶようになり
先々月もそこで見つけた本のタイトル
に惹かれてパラパラっとめくると
この写真に惹かれ
このテーマに惹かれ
一目で興味を持って本を見ていると
「この作者、面白そうな人ですよ」と本を薦めてくれました。
買い求めて本を読み進めるとこの作者は
ギャラリーオーナーでありアーティスト・茶人でもありました。
「現代美術、茶の湯、工芸、生活道具、ファッション….
ジャンルにとらわれることなくモノと暮らしを自在に結ぶ」
sympathyを感じる言葉や室礼の仕方のオンパレードでした。
そして私が以前から興味のあるアーティスト達もこの作者と交流があり、影響を及ぼした人物として登場していました。
美意識が同じ人達ってどこかで繋がっているものなんですね~!
そして改めて「美と暮らし」という本をセレクトされた
オーナーの審美眼にも感心し
またまた私にとって良い本に合うことができました。
本の話はもちろんですが、オーナーのモノや人、音楽・建築・旅の話など本以外でも私にとってはいつもタイムリーな話題でした。
そのbookstoreさんが栄町から無くなるそうです......。
私にとって、思考と嗜好=五感を刺激させてくれるbookstoreであり何かを発見できそうな物が入っているおもちゃ箱のようでした。
時折足を運んだ時に提供してくださる話を伺えなくなると思うと残念ですが、きっとまた違った形で船出をされるのではないかという予感がしています。
それまでに一度訪ねてみよう。