この絵のパンフレットをいただいた途端、絶対に見に行こうと思った展覧会。
土田麦僊
実際、絵を目の前にすると
お顔を隠して泣くのをこらえようとしている女の子…
足元になぜお花が落ちているの?
女の子と同じで悲しく萎れかけています。
真ん中の男の子は、どう慰めようかと心配げな表情。
その子の後ろで上目使いの横目とちょっと不満げにとんがらせた口の男の子。
「う~ん、何とも罰の悪そうな表情だ~!」
タイトルは「罰」
まさしくピッタリ! 笑いがこみ上げてきました。
ほのぼのとした雰囲気のタッチが、険悪なムードというよりも
こころが和んでくるような一場面を醸し出しています。
「こんな男の子いたよね~。」
「私もこんな風に泣かされたことってあったよ!」
と自分の子供の頃を回想してしまいました。
この三人の物語の発端と結末を自然に、見る者達の想像力を掻き立て、思わずあたたかな眼差しにさせられてしまうような作品でした。
土田麦僊作品の中でもう一枚、気になった絵は
「罰」とはガラリと雰囲気の違う「髪」
女性の柔らな腕としなやかに動く指の色香!
京都日本画の誕生と変遷そして真髄が展示された
京都市立美術大学創立130周年記念展です。
「巨匠たちの挑戦」というサブタイトル。
日本画の裏ワザや岩絵の具の原料の鉱物を比較できるコーナーもありました。
近年の巨匠と言われる人達の中に
鈴木松年や幸野楳嶺や竹内栖鳳に師事し
女流画家として初めて大成した上村松園には師匠を超える
美の表現があります。
「待月」
夏の着物の絽か紗とそこから透けてみえる長襦袢の赤い模様の繊細さは、実際に本物の絵でないと伝えようがありません。
以前、着物の袖口や裾から赤の模様がチラリと見えた時
女性の目からでも「ドキッ!」としたことを覚えています。
「私もいつかこんな風な長襦袢を着てみたいな~!」
と思った赤い可愛いウサギの長襦袢。
でも全体に透ける夏の着物の長襦袢として赤い模様を一般的な女性が身につけるのは、今はあまり見かけません。
昔からの透け感とチラリズムは、現代の女性にも受け継がれる女性の艶を演出するアイテムの一つなのですね。
全体に赤模様が見えても下品にならないのは、
紋付の着物や帯を渋く上品な柄と色合いが、長襦袢と絶妙に重なり合う日本画の透明感を活かす松園マジックのよう!
そして物を言わず佇む後ろ姿からでも、
その人の有り方が分かるような、内面的な深みを感じる.....
「後ろ姿で物語る人」
後ろ姿フェチの私としてはこの絵はホントに、ツボに入ってきました!
松園の描く、どんな境遇でも、どんな精神状態の女性であっても
目線やしぐさが妖艶というよりもどこか可憐に感じます。
貧富の差はあっても歌麿同様、どの女性の着物の描写もセンス良く美しい。
いえ、松園の方がやはり現代の洋服のコーディネイトのヒントにもなりそうな位、モダンかもしれません。
近代美人画の巨匠
その松園の絵を更に堪能できる上村松園展が
明日11月2日から京都国立近代美術管で開催されます。
楽しみ~♪
さて美術館を出て次の目的地を訪ねまわっている最中に人垣が見えてきました。
「今日は何かあるのかな?」
と三条大橋の辺りに近付くと向うから見えてきたのは
「時代祭」
祇園祭と葵祭は見たことがありますが時代祭は初めて!
何だが映画村にでもいるようであまり興味が湧かなかいという感じでしたが、外国人観光客にはとっては日本の歴史の変遷を垣間見る絶好のお祭りなのかもしれませんね。
面白かったのが途中
「はい、休憩に入ります!」
と声がかかると折りたたみの簡易椅子が用意されて皆さん腰掛けているのです。
椅子用の車と係も行列に加わっているのが
何だかチンケに見えて笑えてきましたが
良く考えると昔の大名行列もこういう椅子車も、実際一緒に同行していたのかもしれませんね?
これからの紅葉の季節は京都も混雑してきますね。
思わぬ遭遇に出逢うことを期待してお出掛けくださいね(^^)
アート〇美空間Saa・HP