matou~身にまとう・間をとう~が
4月18日(木)~4月29日(火)
11時~18時(最終日15時まで)
に開催されます。
糸、布といった繊維素材を媒体とした造形ジャンルであるテキスタイルアートは、 まだまだ、絵画や彫刻のように広く認知されていません。でも古今東西、使用素材や手法 的には、身近に育まれてきた生活に根ざした芸術です。
アートとクラフトとはっきりジャンル分けにこだわることなく、優れたクラフトは、アートであります。
新しいものを柔軟にとりいれ、生活を楽しむ爽やかな空気感、そしてオシャレな女性が多い街、この神戸でテキスタイルアート作品を楽しみ、日々の暮らしに取り入れていただけたらと提案する展覧会です。
光と闇の二つの空間を2部構成で展示します。
光空間での展示テーマは、○・△・□で「身にまとう」
身に着け・まとうものをオブジェのようにもアートクラフト的にも楽しめ存在感のある作品。
闇空間での展示テーマは「間をとう」
空間演出としての造形、創作のうえでの自分に対する問いかけなど実験的かつ意欲的な作家の旬な作品。
テキスタイルを自身の表現手段として、いつも新鮮で意欲的な創作活動を通して、なにかを表現発信していきたいと願う東京・関西の10人の創りてからのコメントです。
上田恭子 (テキスタイルワーク)
さまざまな作品の形、素材、テクニック。制作を通して表現してきたものは素材の持つ力と自分との対峙のなかで生み出されてきたように思う。繊維素材を触ることで空間に立体として見えてくるもの、光、影、動き、そして内と外、表と裏の曖昧さは触感という感覚を加えてさらにジャンル不明なものになる。
「間を問う、まとう」という今展のテーマは空間意識と身につけるということであるなら繊維素材で制作している作家は私ならずとも両方を常に制作表現をしている作家は多い。何故か、素材とコンセプト、クラフトとアートが秤に掛けられる感じ。今回の展覧会はそのような意味でも開き直って集いたい。もっととことん表現を自由に、楽しく悩みたい。
岡みちこ (染織・ステッチワーク)
近年、従来からの、染め、織り、の仕事の延長として、縫い,刺しによる表現を、試みている。数年前、ボドコや、ドンザと呼ばれる、襤褸(らんる)布たちと出会ったことから、インスピレーションを受け、私の、「布つなぎ」が、始まった。縁あって、集まってきた様々な人々の想いのある布たちを、手の動くまま、無意識に縫いつなぎ,刺す事は、人として、生を受け,過ごしてきた時間をつなぐこと。ひたすら、縫い刺し、つなぐ行為の果てに、見えざるものが、建ち現れ同時に,自身に内省の時間をあたえてくれる。遠い昔に、心の片隅に置き去りにしてきた、物語を、描けたらとおもう。
小野文則 (テキスタイル)
光空間の(左画像)シルクラインマフラー(毛98%、絹2%)はウールガーゼの生地に手染めしたシルクリボンの不織布をニードルパンチという技法で圧着させてあります。薄手のウールなので、肌に心地よく春先から夏の冷房よけにこれからのシーズンにぴったりの作品群です。
闇空間の(右画像)shape of color はアクリルケースに閉じ込められた毛糸はマフラーを作るときに生まれた布端の部分。一本ごとに手染めされた生地でマフラーの房ー耳を作るため取り出された毛糸を少しづつ積層させた作品。身に着けるアートと空間を飾るアートその関係性を楽しんでください。
音堂多恵子(ガラス工芸)
ガラスを素材に内なるものを表現する事、居住空間のオブジェ等、アートを主体にしたものから、器を中心に生活に根ざしたものを制作しています。
京料理店での器と料理のコラボレーションをライフワークに活動しています。
今展ではアウエイ感満載ですが、他作家の皆さんの旨をかりて、何も考えず表現してみたいと思っています。
酒井稚恵 (ニードルワーク)
わたしがいつも使うのは、機械で大量生産された布。
ひと針ひと針縫い縮めていくと、クールだった布の表面温度がふんわりと上がり、イメージがたちあらわれる。
それは、布のフリルやギャザーの下に隠れた少女の肌が囁くポエム。
わたしは、静かに耳をかたむけて、彼女らのポエムをうたいたいと思います。
高橋ほづみ(ファイバーワーク)
何かを表現し、人に伝えるには様々な手段がある。作品を通じてコミュニケーションが出来れば素敵だとモノ作りを続けている。そんなモノ作りの素材として繊維素材を好んで使うのは、繊維素材は生活に深く関わり、時間の経過と共に色褪せ、衰え、土に帰る、この生き物のような素材に心惹かれているのだと思う。
matou展の作品では限られた空間の中に様々なモノが存在している。限られた空間にどれだけたくさんのモノを置けるか、どれだけ美しくモノを置くか、間の取り方は目的に応じて色々考えられる。機能的かつ美しい間合い、そんな空間を求めてみた。
辻田恭子 (立体・ジュエリー)
「身につける小さな現代彫刻」という考えで制作してきました。最近は、身につけるだけでなく、自然との関わりの中で、人が生きていく うえで何が大 切かを問いかけながら制作しています。
今回出展作は
闇空間では(左画像)、人体との関係の中で生命を問いかけています。
光空間では(右画像)、人体の最も中心となるものは何かを問いかけています。
宮田彩加 (刺繍)
闇空間では(上画像)均一な針目で一針一針構築させていくことが前提のミシン刺繍において、崩すというアナログ的抵抗から生じた“WARP”
“WARP”シリーズの中から、本来のWARPの意味である時空の変化を合わせ、動物が製品へと加工される過程を表現した「WARP A」を展示します。
光空間では(下画像)、刺繍技法を支持体を持たず、刺繍糸の多くの結び目のみで構成させた“Knots”シリーズを蝶ネクタイへと展開。蝶ネクタイの発表は本展覧会が初。
山田さきこ(編物)
「見たこともないものを作りたい」ニットでアクセサリーを作ったらどうなるか、わくわくする思いから生まれた。
デザインはいっさいしないから、編みはじめても何が生まれるか、色もかたちも自由自在の不思議が満載。
ちょっとびっくりしてもらったり、ちょっと面白いと思ってもらったり、クスッと笑えたりしてもらえるものを遊ぶ様につくっていけたらと思っています。
脇坂真祈子(ニードルワーク)
葉脈を素材に縫いの技法を用いて 弱さのなかにある強さ 境界線の曖昧なもの 目には見えないけれど確実に存在するもの をテーマにファイバーアート作品を制作しています。今展では「夜空」をイメージして地球上の全ての生き物が纏っている-空気-を表現しました。
光空間の(左画像)酸漿のサンキャッチャーは昼の太陽の光を通してプリズムを楽しむもの。そっと優しく空気を抱きしめている儚くも存在感のある葉脈をお楽しみください。
闇空間での(右画像)インスタレーション「good night」は、森に棲む動物たちのベッドルームです。憎しみや争い、環境汚染。どこか間違った方向に進んでいる世の中の空気は重いものです。でも、力はなくても希望と勇気を持つことで、いつか澄みきった空気を思い切り吸い込める時代がくることを祈っています。
古今東西活躍中の10人の作家による約110点の作品が展示・販売されています。
新緑の穏やかな季節、お散歩がてらお立ち寄りください。
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