兵庫県にゆかりの洋画家として鴨居玲の没後30年の展示会を観て来ました。
石川県金沢市生まれとなっていますが、生年月日と生地に異説があります。
出生届が出されていなかったため、二つ存在する戸籍謄本には「出生を認む」と書かれてあり、本人が病床の母・茂代(モヨ)に尋ねると、「たしか焼きいもの甘かった時バイ…」との答えが帰って来たが、どちらも焼きいもの甘い季節なので本当の生年月日は分からずじまいとも。
自分自身の本当の出生もわからない、、、謎をかかえながら生きると、こういう絵になるのだろうか、、、、?
とにかく暗い。
人間の闇の部分を描く画家として、端正な風貌とのギャップがクローズアップされることを、世間も作家自身も最初は面白がっていたのだろうか、、、、?
鮮烈な叫びもあるけれども生きる光が見えない、重苦しい絵。
この絵が家にあるときっと鬱々と暗くなりそう?私には無理だなあ~!
でも反対に共感し心を動かされる人も多いのでモチロン人気があります。
その中で私の印象に残った作は
<おっかさん>という絵。
老婆に詰め寄られた酔っ払いがタジタジっとしているユーモアが感じられ、ちょっとホッとする一枚。
「望郷」故・高英洋に捧ぐ1981
鴨居玲にしては珍しく生きるエネルギーが感じられる一枚。
そして「肖像」1985
最晩年の作品で仮面をとっているのっぺらぼうの自画像。
もう仮面を脱いで、、、、お疲れさまといいたくなるような共感した一枚。
心臓の病気と創作に行き詰まり、たびたび自殺未遂を繰り返した末、排ガス自殺。
享年57歳、神戸市中央区の自宅での死。
もっと早く仮面を脱ぐ勇気と環境があれば、、、、、、、彼の絵も変わったようにも、、、?
でも人間には破滅的願望のある時期や多重人格的要素は誰しにも潜むsagaかもしれません。
そういう事を鴨居玲は我が身を持って私達に伝え残していったかのように感じた展示でした。。
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