お江戸、美術館巡りをしてきました。
最初は三井記念美術館
柴田是真(ぜしん)の漆×絵
アメリカ人のエドソンコレクション
江戸の粋!
洒脱なデザイン!
江戸末期~明治初めの作品ですが
蝙蝠のデザインなどは
アメリカのバッドマンのマークにしてもいいんじゃない!
って思う位の斬新さ。
ユーモアもあり野菜や昆虫なども描かれていたり
古典的な漆と違って身近に感じられるようでした。
そして波紋を表す青海波塗
や青銅塗・鉄錆塗など金を多用したものよりも
マットでシックな所が粋に感じられます。
固定観念のない面白がり屋だったのかな?
こんな技法もあるのね~!
とびっくりするような「だまし漆」なる変塗など
漆界の異端児だったのかもしれない是真の技を堪能してきました。
次に森美術館
医学と芸術展
医学と芸術=科学と美
身体のメカニズムを探求し死を克服するための医学
理想の美を表現するための解剖はより正確な人間表現のため芸術
レオナルド・ダ・ヴィンチの解剖図
やデミアン・ハートの外手術の絵は
医学と芸術を体現しているかのごとくでした。
日本人の作品としては円山応挙の
波の上に骸骨が座禅をしている掛軸。
「悟り」の表現が面白くて
どこの所蔵かな?
と見ると「大乗寺」
兵庫県香住の大乗寺さん!
別名応挙寺とも言われています。
応挙の襖絵がレプリカに変えられると聞きつけ
その前に一目観ておきたいと数年前に遠く日本海まで訪ねました。
その時、寺内を福住職に案内していただきました。
HPは珍しいデジタルミュージアムになっています。
応挙の絵の中でも特に素晴らしいかったのが身分の高い人を迎える部屋
「山水の間」
琵琶湖と日本海の天橋立が一対の景色に繋がっている山水図は
深山幽谷から流れ落ちる水が滝となり川となって、大地を潤しながら
大海へと注ぐ壮大な様を金箔地に墨で描かれていました。
幸運にも立ち入り禁止になっている床の間のある上段の間に
座らせていただきました。
本来、一番絵を楽しめる位置から眺めると
水のせせらぎが聞こえてくるような.....
天橋立の海面がキラキラ輝いて浮かび上がって.....
一層景色に臨場感が出てきたのでした。
まるでお殿様になった気分!
室内にいながら大海原の景観と水のゆらめき・輝きを感じることができた
至福の時は今も忘れられません。
応挙は凄い! 改めて感じたのでした。
その大乗寺の副住職が昨年11月にSagaに越られた時には
あの素晴らしい絵が既に保存のためレプリカに変わったことを
本当に残念そうに話して行かれました。
在るべき場所で
見るべき位置で
本物を味わう大切さ
を教えてくれたお寺でした。
そして今回一番のお目当ての松井冬子作品。
新作の1点のみの展示でした。
タイトルは
「無償の標本」
女性としては心が痛むような絵をいつも描きます。
今回のタイトルからも言いようのない侘しさを感じました。
彼女の美しい外見とおどろおどろしい絵のギャップのせいか、、、
何かを訴えるような叫びに痛みを感じます、、、
でもなぜか彼女が墨で書く字の凛とした線や雰囲気に惹かれます。
35才とは思えない人生の綾を体現しているかのような絵でした。
人間の生と死の意味を問い直す展覧会でした。
いつの時代になっても永遠のテーマなのかもしれませんね。
アート〇美空間Saga・HP