鏡花のうつくしき女(ひと)が)が終了しました。
Sagaの光空間では妖しく怪奇な微笑みが皆さんをお迎えしているようにも見えます。

モノクロの長いタペストリーが揺れると原画と対比して空間のアクセントとなり、目線に動きがでます。
皆さんが驚くのは、これらの絵がアクリル画でないということ。

ほとんどの人がアクリル画だと思い込んで絵を見ています。
あまりに綺麗な色彩とキャンパスの質感でのパネル貼りなのでデジタル出力という事実に驚きます。
マックの中の色彩以上に深みが出ているからかもしれません。
そして
「鏡花の世界というとおどろおどろしいイメージを持たれるところをポップに明るく描いてくれる人が現れた!」
と泉鏡花記念館の関係者も大歓迎される画風。
それは中川学の絵のキャプションにも表れています。
例えば
また「ロック的な感じ!」
という来場者の感想は、泉鏡花×中川学だからこその趣を感じていただけたように思いました。
闇空間では「龍潭譚」の世界がデジタル版画作品の原画と錫の装丁と美しく隠されたCD付きの絵本で展開。

1ページめくるごと、現代の浮世絵のよう。
至る所にこだわりのあ丁寧な作りは大人の読み物です。
流れているハンマーダルシマーの曲の音色はヒーリング&幻想的な効果もあり、鏡花の妖怪な世界と相まって、夏にはちょうど涼しく感じられると好評でした。
他にもポップでデザイン的な仏画

や日本語と英語が両方描かれた絵本など、それぞれ全く描くタッチが違うので、初めて中川学作品に触れる方にも作家の様々な表現をご覧いただけたようです。

この展覧会を通して、現実世界と幻想世界・美と醜・善と悪・光と影など現代だから際立つテーマとなる、鏡花世界を知っていただける一助になることが中川学の願いです。
そういう想いはSagaでの展示をご覧になった兵庫県下の美術館館長からのオファーにも繋がったようです。
昨年に続き今秋、鏡花のお膝元・金沢の泉鏡花記念館の展覧会だけでなく、来年は兵庫県でも更に多くの方が美術館で泉鏡花×中川学の世界をご覧いただくことになるかもしれません。
イラストがアートとしての道標となるような期待に繋がる作品展でした。
アート〇美空間Sagaサイト