京都国立近代美術館で開催中の「茶碗の中の宇宙」
楽家1570年頃の初代長次郎から現代当主15代吉左衛門の茶碗が展示されています。
初代長次郎作は図録でしかみたことがありませんでしたが、今回18点も展示されています。
その存在感と重厚感は歴代当主の茶碗を圧倒していました。
土が他当主と違うのか、、、?
実際に見ると肌は真黒というよりも茶色がかり柔らかくて光沢がなくマット。
見込みを覗いて更にびっくり!
「こんな見込みの景色は今まで見たことがない、、、」
作為のない自然な大地のよう!
宇宙というよりも地の底から湧いて出ているかのように肌の隙間から金色に発して見えます。
360度、背伸びをしながら何周も覗きました。
展示されている長次郎の茶碗の中で私が一番見込みが面白くみえたのは黒楽茶碗 銘「万代屋黒」
後でその茶碗を調べてみると、私の愛読書「利休をたずねよ」が映画化された時
利休役で市川海老蔵が実際に使って撮影した黒楽がナント「万代屋黒」
映画では見込みは見えなかったので、茶碗のイメージが全く違っていましたが
「ああ~、あれがそうだったの!」
実際に観れて良かった。
約450年の間15代の楽家のそれぞれの時代の当主が一子相伝の中、独自性を追求しています。
21世紀の15代までを見比べながら、16世紀の初代は釉薬も技術も道具も一番乏しかったはずなのに、、、やはり長次郎を超える茶碗は無いように思えました。
有るとすれば楽家ではなく一緒に公開されていた本阿弥光悦の茶碗でしょうか。
17世紀の「乙御前」の艶やかでモダンさは現代の西洋建築にもピッタリ合うような感性。
長次郎とはかけ離れた光悦の多種多様な分野でのオリジナリティーの才には参りました。
長次郎の茶碗は一見装飾がなく地味で無個性のようですが、その丸みにそっと手をそえ、口縁にそっと唇を添わせたくなるような優しさ。
利休の侘びの精神・茶の心を一番忠実にシンプルに表現した長次郎作の凄さ。
利休の愛した美、、、、「これか!」
やはり利休の待庵には長次郎の茶碗がピッタリ!!!
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